レーシック以外にも色々ある近視矯正治療方法・術式

レーシックって色々な術式があって混乱しませんか?私はレーシックを受ける前に「術式が色々あって何だか複雑だな…」と感じていました。

術式を知っておかないと後悔します。この記事ではレーシックを含むさまざまな近視矯正治療の術式について紹介します。

レーシック

レーシック手術概要図

レーシックは大きく分けると3種類の術式に分けられます。レーシックについてはレーシックってなに?手術方法や仕組みについてをご覧ください。

クリニックによって術式やメニューに色々な名前が付いていて混乱しますが、検討している術式が以下のどれに当たるのか知ることが重要です。

マイクロケラトームによるレーシック

フラップをマイクロケラトームで作成する術式です。マイクロケラトームはフラップを作る際に使う器具であり、カンナのような形をしたメスです。マイクロケラトームについて詳しくはレーシック用語集「マイクロケラトーム」をご覧ください。

フェムトセカンドレーザーによるレーシック

フラップをフェムトセカンドレーザーで作成する術式です。

レーシックの歴史にあるとおり、レーシックは元々マイクロケラトームを使用した手術でした。その後、フェムトセカンドレーザーが開発されたことによって、安定的に質の高いフラップを作れるようになりました。術者の技量や感覚に依存しないこともあり、現在はフェムトセカンドレーザーによるレーシックが主流です。

アボットメディカルオプティクス社が販売するフェムトセカンドレーザー機器「イントラレースレーザー(FS60やiFSなど)」を使う場合は「イントラレーシック」と一般的に呼ばれています。

アイレーシック®(iLASIK®)

アイレーシック®(iLASIK®)はフェムトセカンドレーザーによるレーシックの商標です。術式ではなく、あくまで商標です。イントラレーシックの一種です。

以下のアボット・メディカル・オプティクス社が製造する特定機器を使用する場合に限って「アイレーシック」という商標を使うことができます。

  • イントラレースレーザー(FS60および上位機種のiFS):フラップ作成に使用する機器
  • ビジックス STAR S4IR:照射プログラムに基づいて角膜を削るレーザー機器

zレーシック

スイスのジーマー(Ziemer)社が開発したフェムトセカンドレーザー「FEMTO LDV」を使用するレーシックをzレーシックと品川近視クリニックは呼んでいます。

多くのフェムトセカンドレーザーはアボット社のフェムトセカンドレーザーと同様、角膜面に対して垂直に照射されてフラップを作ります。しかしFEMTO LDVは水平に照射されます。照射面はマイクロケラトームと同じように作成され、角膜エッジが鋭角になり、フラップが不安定になります。結果、フラップ形成不全やエピセリウムイングルースなど合併症の発生率が高まります。(参考文献:矢作徹 著「2014年版近視レーザー手術ガイドブック」)

品川近視クリニックはエキシマレーザーAMARISを製造しているシュウィンド社と独占契約を結んでいます。併せてFEMTO LDVもジーマー社と独占契約を結んでおり、日本の市場に流通しない仕組みとなっています。(参考文献:矢作徹 著「2014年版近視レーザー手術ガイドブック」)

角膜クロスリンキング+レーシック

角膜クロスリンキングとは、リボフラビン(ビタミンB2)点眼をして紫外線を照射することによって、角膜の強度を強くする治療です。この角膜クロスリンキングとレーシックを併せて行う術式は、角膜強化型レーシックやレクスト(品川近視クリニック)などと呼ばれています。

以下のような角膜の強度に問題が生じる可能性がある場合に「角膜クロスリンキング+レーシック」を推奨するクリニックがあります。

  • 角膜が薄い場合
  • 強度近視で角膜を削る量が多くなる場合

特に問題のない正常な角膜に対する「角膜クロスリンキング+レーシック」を実施しているクリニックが一部で存在します。フラップ作成および角膜を削ることで失われる角膜強度を補うことが目的です。

「角膜クロスリンキング+レーシック」を推奨していないクリニックも存在します。なぜなら角膜クロスリンキングは円錐角膜治療であり、正常な眼に治療を施した場合の安全性が確立されていないからです。

<ポイント>
「角膜クロスリンキング+レーシック」は一部のクリニックでは大々的に宣伝されていたり、一部のクリニックでは非推奨だったりと、クリニックや眼科医によって意見が分かれている術式です。したがって安易に選択すべき術式ではないでしょう。非推奨のスタンスを取っているクリニック・眼科医が存在する以上、私ならば「角膜クロスリンキング+レーシック」は選択しません。角膜強度に問題があってレーシックを受けられない場合、私ならばICL(眼内レンズ)を選択します。

ReLEx(リレックス)

リレックスはカールツァイス社のフェムトセカンドレーザー「VisuMax」を使ってレンチクル(角膜実質層の切片)を摘出することで角膜の形を変化させる術式です。

ReLEx FLEx(リレックス フレックス)

フレックスはフラップを作成します。フラップを作成してからレンチクルを摘出します。

ReLEx SMILE(リレックス スマイル)

スマイルはフラップを作成しません。フェムトセカンドレーザーで最小2mm幅の切開をし、切開した部分からレンチクルを摘出します。

ReLEx(リレックス)のメリット

  • ドライアイが少ない
  • 近視の戻りが少ない
  • ハロー・グレアが少ない
  • レーシックより術後の炎症が少ない
  • スマイルの場合はレーシックと比べて角膜の強度が高いので格闘技等のスポーツにも適応

ReLEx(リレックス)のデメリット

  • フェムトセカンドレーザーの照射時間が長いため照射ずれのリスクがレーシックより高い
  • 再度リレックス・スマイルを受けることができない(再手術する場合はレーシックとなる)
  • リレックス・スマイル後のレーシックでは通常よりもフラップの厚みが必要となるため、角膜の厚みが不足してレーシック不適応となる可能性あり
  • カスタム照射ができないため、個々の目に合った精密な角膜形状を作り出せない
  • 日本国内における導入が少ない
<ポイント>
レーシックに比べて切開幅が小さいところがリレックス最大のポイントです。切開幅が小さいので、術後のダメージが小さいです。スマイルならフラップを作らないので、フラップが剥がれる心配もなくなるでしょう。ただしデメリットが多いのも事実です。デメリットを考慮すると正直レーシックではなくあえてリレックスを選択する理由は思いつきません。強いて言えば格闘技等のスポーツが可能な点ぐらいでしょうか。私はレーシックを受けるかリレックスを受けるか検討しましたが、デメリットの方を強く感じたためレーシックを受けました。

エピレーシック、ラセック、PRK

フラップを残さない(あるいはフラップを作らない)術式です。フラップが残らないため、ボクシングなどの格闘技が可能です。

フラップを作らない屈折矯正手術(エピレーシック、LASEK、PRK)

エピレーシック

エピレーシックは専用のマイクロケラトームを使ってレーシックより薄いフラップを作る術式です。フラップはやがて剥がれ落ちて再生します。詳しくはレーシック用語集「エピレーシック」をご覧ください。

LASEK(レーゼック/ラゼック/ラセック)

ラセックはアルコール溶液の点眼で薄いフラップを作る術式です。フラップはやがて剥がれ落ちて再生します。詳しくはレーシック用語集「レーゼック(ラゼック/ラセック)」をご覧ください。

PRK

PRKはフラップを作らずに角膜に直接エキシマレーザーを照射する術式です。詳しくはレーシック用語集「PRK」をご覧ください。

フェイキックIOL

フェイキックIOLとは、強度近視用の眼内レンズのことです。有水晶体眼内レンズを角膜の後ろ、虹彩の前か後ろに埋め込みます。コンタクトレンズを眼内に埋め込むイメージです。

レーシックやラセックができない方でもフェイキックIOLによって近視を矯正することが可能です。例えば芸能人の厚切りジェイソンさんはレーシック不適合で悩んでいましたが、ICLによって近視を矯正することができました。

フェイキックIOLの概要図

フェイキックIOLの概要図

前房型フェイキックIOL

虹彩の前に埋め込むレンズを前房型フェイキックIOLと呼びます。

当初は有力な選択肢でした。しかし、角膜に近いところにレンズを入れるため、長期的には角膜内皮細胞に影響が及ぶことが明らかになりました。したがって現在では前房型フェイキックIOLはあまり実施されなくなり、ICL(後房型フェイキックIOL)が主流となりました。

ICL(後房型フェイキックIOL)

虹彩の後ろに埋め込むレンズをICL(後房型フェイキックIOL)と呼びます。

ICLはコラマーというコラーゲンを含んだ親水性の高い素材によってできています。生体適合性に優れているため眼内で異物と認識されにくいです。タンパク質や脂肪の沈着を長期に渡って防ぎ、長期間レンズとしての機能を果たします。劣化による交換が必要ないので一生使えるレンズといえます。

レンズはグレアを抑えたり、有害な紫外線をカットしたりします。

レーシックと比べると以下のメリットが目立ちます。

  • 手術切開創が約3mmと小さく、術後の負担が少ない
  • 術後に必要があれば埋め込んだレンズを取り出すことができる
  • レーシック不適合の強度近視や乱視でも手術が可能
<ポイント>
ICLはレーシックに変わる屈折矯正手術として近年注目を集めています。「目の中にレンズを入れるとは何事か!」と最初は思うのですが、眼内レンズは特別なことではなく、今に始まったことではありません。

ヨーロッパでは1986年から前房型フェイキックIOL手術が行われており、レーシックよりも歴史が古いのです。さらに白内障の手術では濁った水晶体を取り出して代わりにレンズを埋め込みます。眼にレンズを埋め込むこと自体は珍しいことではないのです。

屈折矯正に携わる眼科医の間では「ICLはレーシックより優れている」と語る人は少なくありません。大きな理由はやはり「角膜を削らない”可逆性”の手術であること」です。レーシックに否定的な意見として「角膜を削る手術だから元には戻せない非可逆な手術だから」があります。何か問題が生じたときにレンズを取り出せば元に戻せる。これがICL最大の強みです。

レーシックより高額ですが検討する価値ありです。私は価格と症例数を考慮してレーシックを選択しましたが、今でも「ICLでもよかったかもな」と思っています。

老眼や白内障の治療と併せて近視を矯正

老眼や白内障の治療と併せて近視を矯正することができます。

遠近両用白内障手術

白内障手術は年間100万件以上の症例があるぐらい、眼科では一般的な手術です。白内障になると水晶体が濁って視力が失われます。水晶体を取り除いて、代わりにレンズを入れることで視力を回復させます。

眼内に入れるレンズには2種類あります。

  • 単焦点レンズ(近くか遠くのどちらかにしかピントが合わない)
  • 遠近両用レンズ(近くも遠くもどちらにもピントが合う)

単焦点レンズは保険適用ですが、遠近両用レンズは自由診療です。

<ポイント>
最近では遠中近の3つに焦点が合う「3焦点レンズ」も使えるようになりました。さらにレンズによっては乱視も矯正することができます。白内障の手術をするだけで、老眼・近視・乱視も同時に治療することができる時代になりました。人によっては白内障手術をきっかけに「若い頃より快適に見えるようになった」なんてこともありえます。

関連:レーシック適応検査結果のカルテは大切に保存する

Add-On眼内レンズ

Add-On眼内レンズとは、白内障手術済みの目に対して眼内レンズを追加する手術です。目的は、白内障手術で矯正できなかった近視・遠視・乱視の矯正となります。白内障手術で単焦点レンズを入れた方が「近くも両方も見えるようにしたい」などの場合にAdd-On眼内レンズが選択肢となります。

白内障の眼内レンズを交換する手術は合併症のリスクがあります。なぜならレンズが水晶体嚢に癒着しているからです。したがってリスクの高いレンズ交換をするのではなく、新たにレンズを追加するわけです。

レンズは単焦点・遠近両用あります。Add-On眼内レンズ手術は自由診療となります。

モノビジョンレーシック

モノビジョンレーシックとは、片方の目だけレーシックをする術式です。

近視だと老眼であっても近くがよく見えます。片方の近視を残しておくことで、老眼であっても近くが見えるようになる仕組みです。詳しくはレーシック用語集「モノビジョン法」をご覧ください。

オルソケラトロジー

オルソケラトロジーとは、就寝中にコンタクトレンズを装着することで角膜の形を一時的に変化させる屈折矯正治療です。要は角膜に寝癖をつけるようなイメージです。詳しくはレーシック用語集「オルソケラトロジー」をご覧ください。