レーシックの失敗・失明・リスクについて

レーシックは失明しない

今までにレーシックで失明した人はいない

今までにレーシックで失明した人はいない

レーシックで失明した人は存在しない

1992年からアメリカで開始され、日本では1994年から開始されたレーシック手術。2017年現在までレーシック手術による失明は1件も報告されていません。

「レーシックで失明した人はいません」と、クリニックで適応検査を受けた時カウンセラーに言われました。そんなことを言われると逆に不安を煽られそうですよね。しかし後述するレーシックの原理について理解すると「レーシックで失明することはないな」ということが分かります。

レーシックで失明する可能性、確率

過去の症例では失明が0件ですので、確率も0%となります。

医師が手術中に突然意識を失い、全体重が乗った手術器具を目に突き刺して網膜を傷つけるようなアクシデントが無い限り、レーシックで失明することは考えられません。

レーシックは原理的に失明しない

レーシックは角膜を削る手術。網膜に映し出された像は視神経を通じて脳に送信される

角膜で物を見ているのではなく、私たちは網膜で物を見ている

目の仕組みを簡単にまとめると、外側から順に角膜・水晶体・ガラス体・網膜となっています。

目に入ってきた光は角膜と水晶体によって屈折し、ガラス体を通じて網膜で映像が焦点を結びます。網膜は視神経と繋がっているため、網膜に映像が映し出されると「見えている」状態になります。つまり網膜で映像を見ているのです。

したがって網膜や視神経に疾患があると失明します。有名なのが網膜剥離でしょう。日本では緑内障が失明原因トップですが、緑内障は視神経に障害がでる病気です。アメリカでは加齢性黄斑変性が失明原因トップです。加齢性黄斑変性は、加齢によって網膜の中央にある黄斑が変性する病気です。

レーシックは角膜を削る手術であり、網膜には手を加えません。角膜を削ることによって光の屈折が変わり、網膜で映像の焦点がきちんと合うようになるだけです。

関連:レーシックってなに?手術方法や仕組みについて

<コラム>
そもそも健康な目を失明させる可能性が少しでもある手術を「執刀したい、提供したい」と思う眼科医はいないでしょう。レーシック手術を提供する病院は全国各地に広く存在しますし、慶応大学病院や順天堂大学病院など様々な大学病院でもレーシック手術は実施されています。失明する可能性が少しでもあるならば、厚生労働省がレーシック手術を認可しないでしょう。

レーシックの失敗について

レーシックの失敗について

レーシックの失敗はなぜ起こるのか?

何を持って「失敗」と定義するのか、にもよります。消費者視点では大きく分けて以下3パターンの失敗があります。

  • 1.手術の質・医師の判断が悪かった
  • 2.手術は成功したが合併症が辛い
  • 3.近視が戻った(目標視力が出なかった)

失敗1.手術の質・医師の判断が悪かった

最悪のケースです。以下のような可能性が考えられます。

  • レーシックに適していない目なのにレーシック手術を決行した
  • マイクロケラトームで作るフラップの質が悪い
  • 十分なカウンセリングや承諾を得ずに手術した結果、過矯正で悩む

レーシックは角膜を削る手術であるため、角膜が薄い方には向いていません。また、強度近視の場合は角膜を削る量が増えてしまうため、レーシックに向いていない可能性があります。

レーシックに適応しているかどうかは適応検査で分かります。レーシックに適応していないにも関わらずレーシックを執刀した結果、見え方の質に問題が生じるなどの問題が起こります。

近視については、矯正量の限度を原則として6Dとする。ただし、何らかの医学的根拠を理由としてこの基準を超える場合には、十分なインフォームド・コンセントのもと、10Dまでの範囲で実施することとする。なお、矯正量の設定に当たっては、術後に十分な角膜厚が残存するように配慮しなければならない。

[出典:日本眼科学会「屈折矯正手術のガイドライン」]

マイクロケラトームによるフラップ作成は術者のスキルや感性に依存する要素があります。フラップが途中で切れたり、位置がずれて乱視気味になったりする可能性があります。

現在ではフラップを機械制御されたレーザーで作ることができますので、マイクロケラトームによる失敗は避けられます。

過矯正は必ずしも悪いことではありません。若い場合は近視が進行する可能性を踏まえて、若干過矯正気味にする選択肢もあります。「遠くをほとんど見ることがなく、デスクワークに集中したい」というライフスタイルの場合、1.2や1.5ぐらいを目標視力にしたい方もいると思います。ライフスタイルや希望を無視されないように病院側と話し合う必要があります。

失敗2.手術は成功したが合併症が辛い

ドライアイやハローグレアなどの合併症はほぼ確実に起こります。どちらも術後数ヶ月後には落ち着きますが、回復するタイミングには個人差があります。

病院からの説明不足や、患者の感じ方・精神状態などによっては「合併症が辛い。レーシックに失敗した」というようなことになります。

合併症について正しく理解しておく必要があります。特にドライアイはレーシックに起因しない可能性もあります。

関連:レーシックの合併症・副作用・後遺症

失敗3.近視が戻った(目標視力が出なかった)

手術自体が成功しても、5%ほどの頻度で近視の戻りが認められ、再手術が必要になるケースが2%ほどの頻度であります。(出典:加藤卓次 著「近視矯正手術レーシックの正しい受け方」)

なぜなら角膜の切開創が治癒していく過程で、予想とは違う屈折の状態となることがあるからです。目は「ナマモノ」なので仕方がないことなのかもしれません。

レーシックが失敗する可能性、確率

まず、手術そのものが失敗する可能性は極めて低いでしょう。ただし外科手術である以上は100%成功するとは限りません。

手術成功後の合併症について、ハローグレアやドライアイはほぼ確実になります。その中でも「レーシックは失敗だった」と感じるような程度のひどい合併症になる可能性は極めて低いでしょう。

近視戻りについては先述の通り、5%ほどの頻度で発生するようです。

レーシックが失敗した有名人

ネット上には以下の有名人が「レーシックに失敗した!」という書き込みで溢れています。

  • サッカーの本田圭佑
  • 元AKB48の前田敦子
  • ゴルファーのタイガー・ウッズ
  • タレントの松本伊代
  • など

「レーシック失敗」に関する報道やネットの書き込みは、メディアの憶測によるミスリードがほとんどです。

手術自体には成功しても、近視戻りが起こることはありますので、再手術が必要になるケースは当然あります。それが「失敗・レーシック難民」というように報道されているケースも多く見受けられます。

特に「悪質だな」と感じたのがプロ野球選手井端弘和さんの件です。井端選手は2000年にレーシックを受けて手術は成功しました。2009年に上皮角膜ヘルペスという角膜の病気になったのですが「これはレーシックの後遺症だ!レーシック失敗・レーシック難民」という報道や、ネットの書き込みが急増しました。

角膜の病気だったので、安易に「レーシックの失敗」と紐づけられてしまったのです。結論はレーシックと関係がありませんでした。2009年1月にグアムでの自主トレ中に雑菌をもらってしまったことが原因でした。(参考:デイリーオンラインニュース「【プロ野球】「目の愛護デー」に振り返る、目のトラブルと戦い続けた名プレーヤー・井端弘和伝説」)

目の病気で苦しんでいたとき、レーシックが原因なのだと取材もせずに報じるメディアもあったが、レーシックとは関係なかった。

[出典:井端弘和 著「勝負強さ」]

関連:サッカーの本田圭祐選手はレーシックで失敗しましたか?

関連:レーシックを受けた芸能人・著名人・スポーツ選手一覧

レーシック史上最悪の失敗事件

レーシック手術集団感染事件

レーシック薄明期に起こった「レーシック手術集団感染事件」

レーシックは安全な手術ですが、過去に最悪の「初歩的な」医療ミス事件が発生しました。この事件をきっかけに近視矯正手術の印象が悪くなってしまいました。

レーシック手術集団感染事件の概要

事件は2009年2月に発覚しました。2008年夏頃から2009年2月頃までの間に銀座眼科でレーシックを受けた患者67名が感染症を起こしていたのです。

「銀座眼科でレーシックを受けた患者4名が角膜に炎症を起こして当院に通院している」という情報が千葉県内の眼科医から保健所に届きました。保健所が調査を実施した結果、事件が明らかになったのです。

なぜ銀座眼科はレーシックで事故を起こしたのか?

直接的な原因は「衛生管理がずさんだったこと」です。

  • 経費削減のためマイクロケラトームの刃を使い回していた
  • 手術器具の洗浄・減菌管理が不十分だった
  • 点眼等の消毒薬の希釈が不適切だった
  • 院内の感染対策や衛生管理に関する教育やマニュアルが不足していた
  • 執刀医が帽子や手袋をせず、素手で眼球を触ることもあった

間接的な要因には以下が挙げられます。

  • 執刀医師は開業するまでレーシック手術の経験がなかった
  • 執刀医師は眼科専門医ではなかった
  • 眼科専門医でなかったため角膜に関する知識が欠けていた
  • 眼科専門医でなかったため炎症への対策が不十分だった
  • 経営状態が良くなく、自転車操業状態だった
  • 執刀医はずさんな性格だった
  • 両眼10万円という格安を売りにした薄利多売のビジネスモデルだった

「眼科専門医でなかった」「経営状況が苦しかった」「ずさんな性格だった」という要素が組み合わさった結果、眼科医からすれば信じられないような大事件が起こってしまったのです。

参考:朝日新聞「レーシック手術集団感染事件で銀座眼科医師に実刑判決」

本事件に対する眼科医たちの意見

<慶應義塾大学医学部眼科 坪田一男教授>
あまりにも非常識であり、いってみれば、一つの航空会社の飛行機が70機続けて落ちました、というような事件である。原因は、燃料をちゃんと積んでいませんでした、整備も10年くらいしていませんでした、という感じである。手術をおこなった医師は、眼科専門医ではなかった。医師免許は持っていたらしいが、あきれるほどお粗末。あまりに無責任、というより、無知といってもいいくらいだ。手術をおこなうのに、器具の減菌や衛生管理は、基本中の基本である。

[出典:坪田一男 著「不可能を可能にする視力再生の科学」]

<社会保険中京病院眼科主任部長 市川一夫>
安い料金で多くの患者さんを集め、大量の手術をこなす一方で、衛生管理面で普通では考えられないようなコストカットを行っていました。

[出典:市川一夫 著「正しく理解して選ぶ視力矯正治療」]

関連:レーシック専門クリニック・眼科クリニック・大学病院のどれがおすすめか?

今後もこのような事件は起こるのか?

当たり前の衛生管理ができていて、眼科専門医が執刀する限りは同様の事件が起こることはないでしょう。

ただし、その「当たり前」ができないクリニックが今後生まれる可能性は否めません。例えば「格安を売りにした薄利多売のビジネスモデル」は手術の質を左右する要因になりかねません。

<コラム>
私はレーシックを両眼30万で受けました。「高額だけど妥当だな」と無意識に感じていました。変な言い方ですが、クリニックにはしっかり儲けてほしい、と考えています。しっかり顧客からお金をたくさんもらってほしいのです。そして経済的余裕を持った上で質の高い手術を安定的に供給してほしい、と思うのです。価格を選ぶ消費者には「レーシックを格安の薄利多売ビジネスにさせない意識」が必要です。