エキシマレーザー

エキシマレーザーとは、レーシック手術で角膜を削るために使用される医療用レーザーのことです。エキシマ(excimer)はexcited dimer(励起二量体)の合成語です。

ハロゲンや希ガスなどの混合ガスに高電圧を加えて高エネルギー状態(励起)にし、高エネルギー状態から低エネルギー状態に戻る際に生じる紫外光を利用しているものがエキシマレーザーです。

エキシマレーザーは工業用途で1980年頃から利用されているレーザーです。波長が短くて細い加工に適しているので、血管内の血栓を除去する治療など医療現場でも利用されるようになりました。

近視矯正手術は角膜にメスで切れ込みを入れる手法(RK、サトウズオペレーション)から始まりました。メスではなくレーザーで手術できないかという流れになり、1983年にはアメリカのトロッケル医師がエキシマレーザーを使った手法について論文を発表しました。そして1985年にトロッケル医師はエキシマレーザーで角膜を削るPRKを確立しました。

エキシマレーザーは角膜の一部分を正確に除去することができます。コールドレーザー(熱を発生しない)であるため、角膜中のタンパク質が変性するリスクを回避します。水晶体や網膜などの周辺組織に障害を与えることがない安全性が高いレーザーです。

現在ではフラップをフェムトセカンドレーザーで作成し、フラップをめくった後にエキシマレーザーで角膜を削るイントラレーシックが主流です。